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ぼくらは海へ 感想

  • Day:2019.05.03 16:08
  • Cat:読書

 久しぶりに誰かと感想を話し合いたいと思うような本を読みました。何を話してもネタバレになってしまうので、ぜひ読んで欲しいとしか言いようのない小説でした。
 著者は『ズッコケ三人組』で有名な那須正幹。小学六年生の夏、五人の男の子たちが船作りを思い立ち悪戦苦闘するという設定。ぼくの大好物の設定です。冒頭の登場人物や背景の描き方が本当に鮮やかで、これには美しさを感じるほどでした。必要最小限の端的な表現で登場人物の個性的な性格や姿、家庭環境、舞台になる秘密基地が描かれて見事としか言いようがありません。「これが小説の立ち上げ方なのか」と感心してしまいました。また読み進めていくと人物のそれぞれに複雑な家庭環境の背景があり、少年が感じる言葉にできないようなもどかしい葛藤がよく伝わってきます。ラストシーンには様々な解釈があると思います。三十年前の小説なのでネット上には感想や考察が溢れかえっていると思います。ぼくは最後まで読んだあと絶句してしまいました。そしてぼろ泣き。このような読後感は今までの読書体験でも初めての経験でした。すごい小説を読んでしまいました。お勧めです。